精密診断と治療

マイクロスコープでの
精密診断と治療

マイクロスコープによる精密歯科診断、及び精密歯科治療を行うことで、「今ある歯を守るために必要な治療」を行います。マイクロスコープで行った精密診断・治療に対しMTA覆髄で「今ある歯の保存」をします。すべては「歯の未来」のための治療です。

また、医師の「技術」や「診断」が、重要な治療でもあります。

マイクロスコープでの精密診断と治療

歯冠修復の精度を高めることは、歯の予後(保存)に関わる要素の一つです。マイクロスコープ(手術用顕微鏡)やMTAを用いたむし歯治療は、単に「むし歯を除去する」ことにとどまらず、「歯の未来を見据えて治療する」考え方に基づきます。

歯科治療の流れ

治療の流れは下図をご参照ください。

歯科治療の流れ

※1 確定的外科処置:歯周病の再発を防ぎ、メンテナンスしやすい歯周環境を作ることを目的とした外科処置。
※2 補綴治療:歯を失った部位に人工の歯を作って入れ、噛めるように補う治療(部分入れ歯/総入れ歯/ブリッジ等)。近年はインプラント治療も補綴の分野として考えます。歯冠がむし歯等で崩壊し噛めなくなった歯に、残存歯根へ人工歯を被せて形態を補完する治療も含まれます。

マイクロスコープとは

手術用の顕微鏡のことです。
肉眼より25倍に拡大した視野で治療が行えるため、より精密な治療を患者さまに提供することができます。

マイクロスコープを用いる目的

  • 治療部位の確認を行いながら処置を進めること
  • 詰め物等の適合(段差の確認を含む)に配慮すること
  • 根管治療(根の中の治療)など、細かな操作を要する領域で視認性を確保すること

歯髄保存治療

歯髄は歯の内部にある神経・血管を含む組織で、刺激を感知するだけでなく、防御壁となる第2象牙質(デンチンブリッジ)の形成や、免疫細胞等による防御機能を担います。「歯髄を守る」「歯の神経を残す」理由は、歯髄の有無が歯の寿命に大きく関わるためです。

歯を失う原因には歯周病、むし歯、外傷などがありますが、最多の原因は歯根破折で、喪失歯の約6割を占めるとされています。歯根破折は神経のない歯(失活歯)であることが多く、過去に抜髄処置が行われています。また、歯を失う2番目の原因である根尖病巣(根尖性歯周炎)も、抜髄処置や根管治療を受けた失活歯で生じる問題です。これらを合わせると、喪失歯の7割以上が神経のない歯であり、歯を失わないためには歯髄を守ることが重要であるといえます。

スコープによる拡大精密治療

MTA覆髄治療では、覆髄材だけでなく、むし歯の除去方法など治療過程が重要になります。歯髄に近接した深いむし歯の治療であるため、歯髄への刺激に配慮しながらむし歯を取り除くことが求められます。

当院では、歯髄に近接する部位で低速ドリルや手用器具(エキスカベーター)等を用い、段階的にむし歯を除去します。治療前に麻酔を行います。痛みが苦手な方は事前にお申し出ください。

また、健全歯質への影響に配慮し、拡大スコープや専用ライト、う蝕検知液の使用、ラバーダム防湿による隔離などを行い、露出した歯髄の感染予防に配慮したうえで、MTAによる覆髄処置(歯髄保存治療)を行います。なお、MTA覆髄治療は非感染歯髄である等、適応が限られる治療です。

MTAとは

MTAセメントは、根管穿孔(せんこう)部位を封鎖する材料であり、1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例で使用され、臨床での使用に関する報告があります。

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、ケイ酸カルシウムを主成分とし、生体親和性、封鎖性、石灰化促進作用、デンチンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性などの特性が述べられています。
当院のMTA覆髄治療では、複数の材料を症例に合わせて選択しています。

MTA覆髄治療の特長

歯髄を保存できる可能性がある

神経を取るケースでも、歯髄を残せる可能性があります。

抜髄処置(根管治療)を回避できる場合がある

通常であれば神経を取るケースでも、歯髄を残せる可能性があります。

歯の寿命に関わる要因の回避につながる可能性がある

失活歯の歯根破折や根尖病巣の回避により、歯の寿命に関わる可能性があります。

治療費用に関して

失活歯では再根管治療や被せ物の再製作が必要になること、歯根破折等に起因する抜歯で新たな治療が必要になる場合があります。MTAにより歯髄保存が可能であれば、これらの費用発生を抑制できる可能性があります。

MTA覆髄治療の
注意点とデメリット

適応症が限られます

非感染生活歯髄の状態であるC2が適応とされています。何もしなくてもズキズキ痛む、温かいものの飲食で痛む等の炎症歯髄・感染歯髄(C3)は非適応です。ただし、冷たいものの飲食で少ししみるむし歯は適応となる可能性があり、可否は状態を直接確認して判断します。

歯髄を保存できない場合があります

歯の状態によっては、歯髄保存治療後に歯髄の炎症等で抜髄処置が必要になる場合があります。予後は診断時・治療時の状態確認後に説明します。

治療直後にしみる場合があります

むし歯除去時や覆髄処置の刺激により一時的に過敏となり、冷たいものの飲食で痛みを感じる場合があります。経過に伴い軽減することがあります。

医師の技術・診断が重要です

担当医師の診断やむし歯の除去方法が治療結果に影響します。

保険適用について

MTA覆髄治療(歯髄保存治療)は一部保険適用となる場合がありますが、基本的には保険適用外の治療です。

よくある質問

マイクロスコープを用いると何が変わりますか?

治療部位を確認しながら処置を進めること、詰め物等の段差の確認に配慮すること、根管治療など細かな操作を要する領域で視認性を確保することが目的です。

治療後に症状が出ることはありますか?

治療直後に一時的にしみる場合があります。また、歯の状態によっては歯髄保存が難しく、後日抜髄処置が必要になる場合があります。

MTA覆髄治療は誰でも受けられますか?

むし歯の進行度や歯髄の状態(感染の有無・症状)を確認したうえで、適応の可否を判断します。状態によっては歯髄保存が難しい場合もあります。

MTA覆髄治療を行っても、後から根管治療が必要になることはありますか?

歯の状態によっては、治療後に歯髄の炎症等が生じ、抜髄処置(根管治療)が必要になる場合があります。経過観察を行いながら判断します。